2009年11月24日火曜日

フランシスカン叢書4 「聖フランシスコの会則-文字と精神-」

書評:フェルナンド・ウリベOFM著「聖フランシスコの会則。文字と精神(原題La Regula di San Francesco. Lettera e spirito)」。OFMムルシア神学研究所刊行。sosho04エスピガス編集、ムルシア(スペイン)、2006年。スペイン語。

この著作は「新講座」と呼ばれる会則解説書シリーズに収められています。テクストは22単元に分けられており、著者はその中で、他の中世資料の文脈-特に聖フランシスコの書き物-において分析された言葉の価値を再生しようと努めます。各単元にはテクスト解釈の補足として、また再読の助けとして、示唆提言集と優れた文献目録案内が用意されて大変充実したものとなっており、各テーマについてのより深い研究や知識吸収が可能です。本書はフランシスカン兄弟たちの養成のためだけでなく、アシジの聖フランシスコの思想をもっとよく知りたいと願う人々の誰にとっても非常に有用です。 (フラテルニタス2007年1月号)

日本語版への序
私は、幼少の頃より日本という偉大な国とそこに住む人々、そして文化に深い関心と称賛の想いを抱き続けていました その日本において、「フランシスコの会則に関する私の著作の日本語版が出版されるということで、私は今、言葉にできぬほどの幸福を覚えています。本書を通して、[会則」というフランシスカンの重要な源泉資料に関する私のききやかな省察が、日本の小さき兄弟姉妹、またフランシスコを愛するすべての人々と分かち合うことができるようになるでしょう。
小きき兄弟会は今年、創立八〇〇年、つまり、教皇インノセン三世が聖フランシスコと初期の兄弟たちに口頭で原始会則への認可を与えてから八〇〇年という節目の年を迎えています。この記念すべき年に、数世紀前に書かれた会則のような資料を見直し、そこに息づいている福音的インスヒレーションを現代の文脈で再び捉えなおすことは、まことにふさわしいことと思われます
「会則」は、その成立の古さゆえに、細心の注意を払って読まれるべき文書です。その解釈のためには、これに先行する源泉資料をも視野に入れなければなりません。そして何よりも大きな愛情をもって向かい合うべきでしょう。「会則」への愛情とは、時代と場所の変遷を考慮に入れつつ、その中に普遍的な価値を見出し、現代への通用の道を探る努力を続けることを意味します。
この愛情は、本書の執筆において常に私自身に対する道標となるものでした.そして本書を読まれる皆様にも、同じ努力をしていただけることを期待しています。このようにして、私は、アシジの聖フランシスコが目指した福音的理想が、未来に向かってますます深く理解され、生かされていきますようにと切に願います。
最後に、スペィン語で書かれた本書を日本語に翻訳し出版する手配をしてくださったすべての皆様に深く感謝の意を表したいと思います。私たちの兄弟フランシスコが、天国から彼らに、そして本音を手にされるすべての皆様の上に豊かな祝福を与えてくださいますように。

フエルナンド・ウリベ OFM
2009年の復活祭に

フェルナンド・ウリベ「聖フランシスコの会則-文字と精神-」教友社、2009年(4,900+税) カトリック書店、Amazon.co.jpでも購入出来ます。