フランシスカン叢書３ 「フランシスコ、霊性の教師」

本書は、Thaddee Matura, Francesco Maestro nello Sprito, Qiqajion, 2002の翻訳である。原著はフランス語で書かれた原稿をイタリア語に翻訳し、出版したものである。なお、本文中の聖フランシスコの書き物からの引用箇所は、訳者が翻訳し、その表題は『アッシジの聖フランシスコの小品集』（庄司篤訳、聖母文庫［聖母の騎士社］、一九八八年）に準拠した。
著者のタデエ・マトウーラは、カトリック教会の修道会である小さき兄弟会（フランシスコ会）のフランスの管区に属する司祭で、霊性神学の専門家として数多くのフランシスコに関する著作を発表している。その多くは各国語に訳され、広く知られている。本書は彼の主著『アッシジのフランシスコ、《霊的な著作者》彼の書き物のメッセージ』（Francois d'Assise, < Auteur spirituel>. Le message de ses e crits, Paris, 1996)の内容をよりわかりやすく要約したものである。
劇的な回心、兄弟たちとの生活、小鳥への説教、自然への愛など、アッシジの聖フランシスコは伝記に登場するエピソードを通じて知られ、愛されている。しかし、聖人が書き残した著作についてはあまり知られていない。本書において著者は聖フランシスコを著述家、霊性の師として捉え、その書き物から見えてくる彼の三位一体の神と人間のヴィジョンについての輪郭を描き、その後で人間が歩むべき道のりについて言及している。本書はキリスト教霊性の視点から聖フランシスコを読み解こうとする試みと言えよう。本書を通じて、多くの方々がアッシジの聖フランシスコと彼の生き方に親しみを抱いていただけたら幸いである。
「訳者あとがき」より

タデエ・マトゥラ「フランシスコ、霊性の教師」教友社、２００９年(1,400＋税） カトリック書店、Amazon.co.jpでも購入出来ます。